見ているだけで気分も上がる
カラフルな刺繍が素敵な旅へと誘う

“ラグジュアリー”という言葉には、”高級な””贅沢な”という意味がある。ファッションにおいてはアイテムやブランドに対し、贅沢で高級な様を表現するために使われるのが一般的だ。今回ピックアップした〈Kilometre.Paris〉も、いわゆるラグジュアリーブランドだが、その意味合いが少し違う。そもそも同ブランドを手がけているのは、雑誌『Jalouse』の元編集長で、ファッションジャーナリストでもあるAlexandra Senes（アレクサンドラ・センヌ）。セネガル生まれでマンハッタン育ち、そして現在はパリを拠点にしており、いわば世界中の都市で過ごしてきた人物だ。知らない場所への冒険をこよなく愛する彼女は、知らない世界を発見することが究極のラグジュアリーと考えているという。〈Kilometre.Paris〉は繊細な刺繍を通して、その思想が表現されている。世界の都市をテーマにデザインされた刺繍は、ブザムシャツのフロントからバック、カフスにいたるまでぎっしりと敷き詰められ、まるでアートのような存在感。これはメキシコやインドの職人の丁寧な手作業で生み出されたもので、卓越したクラフトマンシップも感じられる。他では出合うことができない一生モノのシャツに袖を通すと、刺繍でデザインされた都市へ旅しているような気分にさせられるはず。