江戸時代に入る少し前。編み物(ニット)は、ポルトガル人やスペイン人が持ち込んだ手袋や靴下を通してここ日本に伝えられたとされる。そのあたりの文献を開いてみるとメリヤスという言葉もチラホラと。そして、現存するものとしてもっとも古いとされるのが、水戸藩主の徳川光圀が着用していた綿などの靴下といわれている。ご存知のように、時代劇に見られる家臣を引き連れた諸国漫遊の旅はフィクションである。ただ、編み物の魅力にどっぷり浸かっていたことを想像するとどこか親近感が湧いてくる。そして、〈HERILL〉のコットンニットもきっと気に入ってくれるに違いない。アイテムとしてはローゲージニットだが、厳選されたコットンを使い、ネックをタイトに設定しているため感覚としてはスウェットに近い。とはいえ、長めに設定されたテンションの強いリブが袖や裾にたまりを生み、ニットならではのエレガントさを後押しする。適度にショルダーをドロップさせてはいるものの着丈はやや短めで、袖を通したその姿はリラックスと節度がいい塩梅。ニットほど気を使わず、スウェットほどラフさを感じさせないその姿は、まさに、季節の変わり目にはちょうどいい。そして、素材の良さはご覧のように発色の良さからも窺い知れる。目にすれば、誰もが膝をついて「はは〜」とこうべを垂れる、とは言わないまでも、注目を集めることは必至だ。