アフリカ大陸への狩猟・探検旅行のための快適で機能的な夏用アウターとして、19世紀に考案されたサファリジャケット。ウィンザー公をはじめとするヨーロッパの貴族階級たちが、その旅行のために仕立てた歴史もあり、最も優雅なスポーツウェアとも称されている。カジュアルウェアとして着られるようになったのは1950年代から。作家のアーネスト・ヘミングウェイの着用や、1968年に誕生したイヴ・サンローランのサファリルックなどによって一般に広まったといわれている。なかでもモードに進化させたサファリルックは、女性のファッションに革命をもたらしたといっても過言ではないだろう。〈ORCIVAL〉のサファリジャケットにも、当時のイヴ・サンローランと通ずるものを感じる。ボタンではなく紐を使った特徴的なフロントデザイン、先染めながらの奥行きある発色と美しい光沢感を楽しめるコットンギャバジンなど、一般的なサファリジャケットとは一線を画し、モダンかつ女性らしく昇華させているのだ。前振りの二枚袖で立体感をもたせたり、袖口にカバーオールのようなスリットを入れたり、細部も抜かりなく作られているのも見どころのひとつ。前立てや袖口のアレンジによってさまざまな表情で着こなせるので、ワードローブにあるとスタイリングの幅もきっと広がるはずだ。