幼少期に祖母や母が作ってくれた手編みのニット。愛情がたっぷり込められているにも関わらず、当時は野暮ったい感じがしてあまり好きではなかった。手編みの素晴らしさに気付いたのは、だいぶ歳を重ねてから。機械編みには出せない独特な風合いや温もりは唯一無二であること。なにより時間をかけて丁寧に編み立てた特別な一枚だったんだ、と。そんな気付きを思い出させたのが、<unfil(アンフィル)>のニットだ。日本国内で贅沢な手編みで作られているだけに、やはり他とは一線を画す存在感がある。その立役者となっているのが、光沢感のある極太のシルク糸と起毛感のあるコットンの不織布の組み合わせ。色や太さが異なる素材が織りなすリズミカルで美しい表情が、手編みの魅力をさらに引き立てているのだ。また、後ろ身頃はヒップが隠れるくらいの着丈に、袖は立体的に仕上げたことによるシルエットバランスも秀逸。ボリュームがありながら見た目も着心地も軽く、まさに春の装いにぴったりな一枚である。スタイリングの鮮度アップにもひと役買ってくれるだろう。