袖を通すことで着こなしも気分も軽やかに

時代を象徴するファッションアイコンたちの影響力は計り知れない。エッジィな歌をうたい俳優兼監督としても評価を得たセルジュ・ゲンスブールの着こなしには、ぞんざいながらもどこか知的でセクシーさを感じさせた。オーバーオールの肩紐外しを実践していたウィルスミスしかり、ギャングの間で始まったとされる片方の裾だけを捲り上げるパンツの穿き方を好んだLL Cool Jしかり、1990年代はその傾向が特に顕著だった。先述したゲンスブールに、高級な革靴を素足で履くよう薦めたとされるジェーン・バーキンもそう。フレアジーンズにシンプルなニットを合わせるなど、どこかノンシャランな空気を纏わせた彼女の着こなしが、新たなトムボーイシックの幕開けを告げた。彼らの存在は、ファッションは自由であることを改めて教えてくれる。だからこそこの冬は、上質かつ高価な素材に及び腰にならず、定番色よりむしろカラフルなアイテムを手に取っておしゃれを存分に楽しんでほしい。〈MORRIS & SONS（モリス＆サンズ）〉のニットは、繊維長の長いカシミアを惜しげもなく使い、その特性を最大限に活かした編地で製作されている。その色味からして質の高さはより分かってもらえるだろう。そして、ただでさえ柔らかいうえに、ミンクファー加工を加えたことでより弾力性も生み出した。こちらに袖を通すことで、もしかしたら色彩の魔術師と称されたデイヴィット・ホックニーの心情を味わえるかも知れない。それでもまだ二の足を踏んでしまいそうな方も、しっかり定番カラーをラインナップしているのでご安心を。