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September18th

New Balance

  • M2002RMI

    ¥12,980

引き算によって生まれた
スニーカーのニューベーシック

日本文化にまつわるのひとつの考え方に「引き算の美学」がある。例えば代表的な日本画で知られる墨絵は、絵の対象物の本質を描くうえで余白、つまりは描かない部分が重要という考え方が貫かれてきた。和食では出汁を調理する際、出汁を取る、出汁を引くと表現する。日本の禅に強い関心を示し、深く学んだとされる元アップル共同創業者のスティーブ・ジョブズは、社内研修プログラムでピカソが描いた『雄牛』を題材に不必要な部分を徹底的に削ぎ落とすことの大切さを説いた。個性の追求やアップデイトに着手するうえで、得てして誰もが何かを加えようとするが、引くことで違った一面を魅せることも頭の片隅に留めておきたい。このNew Balanceの一足には、そんな想いを感じ得ない。アッパーは、メイドインUSAのフラッグシップモデルとして2010年に登場したMR2002からインスパイアされている。自社工場で最高の技術力を誇るグループ、「Super Team33」が製造を担当した最上級モデルだ。ただ、特筆すべきはヒールカウンターとシューレースを取り除いたミュール型ということ。その姿は新鮮でスニーカー以上に軽快かつラフに履ける。それはまさしく、引き算によって生み出されたグッドアイデア。削ぎ落とすことで生み出された新たなスニーカーの形なのである。秋口にはワイドパンツにソックスと合わせたスタイルを楽しんでもらいたい。

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