はき始めたその日から
「こなれて」見えるコーデュロイ

ファッション誌などでよく見かける「こなれる」という言葉。もともとの語源としては、果物などが熟す様を表現したものなのだとか。ちなみに、漢字では「熟れる」と書く。ファッションでは、着慣れて見えることや自分のものにしていることが大切、との考えからよく使われている。思えば昔から、買いたてのスニーカーをわざと汚し、リジットのデニムを擦って色落ちさせ、BDシャツの襟をくしゃっと曲げるなど、我々は知ってか知らずか「こなれる」ために努力や工夫をしてきた。そして、大人になってもそのスタンスはきっと変わっていないだろう。ただ、日本人デザイナーの岡ゆみか氏が手がけるINSCRIREのCORDUROY STRAIGHT PANTSはそんな努力や工夫を必要としない。あくまで自然体な中に、周囲からの「分かってるね」を引き出す独自の遊び心を秘めた服作りを行っているからだ。そして今季は、昨年ブランドが展開していたコーデュロイパンツを別注によりビショップのみで展開。太過ぎず、細過ぎないストレートシルエットに、柔らかな風合いの中畝コーデュロイがどんなスタイルにもよく馴染む。さらに、ワンウォッシュをかけたことで足を通したそばから穿き込んだような風合いを醸すのだ。そう、誰もが「こなれる」を自然と演じられる一本なのである。鏡の前に立った時、きっとその魅力を実感するはずだ。