日本職人の卓越した技術が冴える
ミニマルなカンフーパンツ

豊かな水や肥沃で温暖な土地といった木曽川がもたらす自然の恵により、奈良時代から繊維産業が盛んな愛知県尾州。世界三大毛織物の産地のひとつであり、今もなお国内生産量の約8割を占めているという。ただ、他の分野もそうであるように、職人の高齢化が問題になっている。2018年よりスタートした〈holk〉は、その問題を深刻に受け止め、尾州にて後世に残るモノ作りに取り組んでいるブランドだ。コンセプトに掲げているのは、“身近な人々のための服の在り方”。モノ作りから購入までに関わるすべての人の心が豊かになるプロダクトを目指し、小さな工場の熟練職人の手によって機織りから縫製までの工程を行っている。今季はブランド定番のKANG FU PANTSを、夏にぴったりな素材で別注。コットンとリネンを高密度に織り上げた平織りの生地は、古くから着物の仕上げなどに使われてきた伝統的な染色方法が採用されている。発色のよさと和紙のようなサラッとした風合いを併せ持っているため、肌離れもよく夏でも快適な穿き心地。さらにナチュラルなシワ感が、見た目にも軽やかな印象を与えてくれる。もちろん両サイドのダブルステッチによる、KANG FU PANTSならではの立体感あるフォルムも健在。さまざまな着こなしにスマートに溶け込む汎用性を備えていながら、どこか今っぽさも感じさせる。なにより、世界に誇る職人の高い技術力を存分に堪能できる一本だ。