今日のビショップ

March31st

SAUCONY

  • SHADOW6000(EXCLUSIVE)

    ¥13,200

鳴かない猫は鼠捕るシューズが今はちょうどいい

これまで見えなかったものが見える。その事実は、多くの大人たちに驚きと興奮を提供してきた。100以上のパーツが複雑に絡み合い静かに時を伝える機械式時計。その内部を目の当たりにできるシースルーバックには、どこかロマンも感じさせる。スニーカーシーンでは、クッショニングのビジブル化が業界に与えた衝撃は計り知れない。ただ、見えないがゆえに得られる恩恵もあることを忘れてはいけない。思いつくところでいえば「JAZZ」と並ぶ〈SAUCONY〉の名作のひとつ、「SHADOW」か。ストレスフリーなアッパーのフィット感、オンロード、オフロード双方で抜群のグリップ力を発揮する三角形のスタッドが並んだアウトソールパターン。そんな「JAZZ」の基本性能をしっかり受け継ぎながら、耐摩耗性が強化され、ミッドソールのカカト部に入れたスタビライザーが抜群の安定感をもたらしたのが「SHADOW」である。夜間走行をサポートする反射材もつけるなど、当時の技術の粋を一身に背負った一足だが、見た目からはその大半を目にするには至らない。それが、逆にファッションシーンとの親和性を生み、’90年代初期にはストリートシーンで絶大な支持を得ることになる。そして輪をかけ今回の別注だ。特別な配色で依頼したこちらは、アッパー、ソール、シューレスに至るまでグレージュのトーナルカラーで統一。往時のランニングシューズ感は中和され、品よく仕上がっている。しかも、各所のトーンに差をつけたことで立体的かつ奥行きのある姿に。今回もまた、ミッドソールに最先端にして超軽量なクッショニング材を搭載してはいるものの、その片鱗は履いたときにしか分からない。鳴かない猫は鼠取る、その伝統はいまだ健在である。

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