イタリアの老舗ファクトリーが作る“軍パン”に学ぶべきこと

イタリアはとてもユニークな国だ。モダニティーを追求する北とクラシックを大切にする南。文化もスタイルも異なるふたつの個性が共存する国。それがイタリアである。共通していえるのは、モノづくりにおける伝統と深い見識。それは隣国フランスの貴族文化から生まれたメゾンより、長い間仕事を請け負ってきた歴史的背景が影響していると思われる。彼らからの高度な要求がモノづくりの地盤を強固にし、世界的なマーケティング戦略からどのようなアプローチをし、どう売り出していけばいいかを学んできた。それが、現在のファクトリーブランド化に繋がっているという識者も多い。〈Cellar Door〉もまた、北イタリアに位置するファクトリーより誕生したブランド。国際的なラグジュアリーブランドのパンツをいくつも作ってきた背景を活かし、クラシックなテイストに新たな縫製テクニックを導入し仕上げたコレクションは、男女を問わず多くのファッショニスタを魅了する。たとえ洗練とは対極を成し、軍由来の荒々しい佇まいが特徴的な“軍パン”であっても、〈Cellar Door〉の手にかかればモダンなファッションアイテムへと変貌する。ウエストのドローコードでポジションを自由に調整でき、裾のドローストリングでシルエットの膨らみも自在。ウィメンズなら、タックインにハイウエストで合わせればスマートなプロポーションを表現可能に。そうやって同国の伝統はまた次へと受け継がれていく。そこから学ぶべきことは、思いのほか多いのかもしれない。