ジュエリーでもよく目にすることの多い昆虫モチーフ。その理由としては、背景に秘められた由来や意味によるところが大きい。例えば、蝶はキリスト教では復活や不死の、仏教では輪廻転生の象徴とされ、太陽に向かって飛んでいくことからその名がついたてんとう虫はまっすぐに天に向かって飛ぶ様子から“神の使い”と考えられてきた。蜂もヨーロッパでは幸運の象徴とされ、あのナポレオンも好んでいたとか。1950~60年代にフランス海軍へ制服を提供していた由緒正しきフランスの老舗、ORCIVALもまた、ロゴに蜂を起用。こちらのブランド定番のジップパーカーにもさりげなく付けられている。1900年代初頭の吊り編み機で、糸にストレスをかけないようゆっくり織られた生地は、同時に空気を内包していき独特なボリュームとふっくらとしたタッチを育む。今回はいつものサイズ感を変更し、着心地の良さをより感じられる一着に仕上げた。日本の職人が丹念に織り上げたそれは、なるほど袖を通したそばから有無も言われぬ幸福感を感じる。ここ日本で働き蜂のごとく働く男女にこそ、この一着を捧げたい。