チェック柄とひとつに括ってしまうとそれまでだが、その種類のひとつひとつを紐解いていくと出自や背景がなかなかにして面白い。タータンチェックはもともとスコットランド発祥で民族ごとに柄が異なったり、ブラックウォッチが実は軍由来だったり、グレンチェックは20世紀を代表するファッションアイコンだったウィンザー公が好んだ柄ということで別名プリンス・オブ・ウェールズと呼ばれていたりなどなど。では、オンブレチェックはというと、1950年代にバイカーやアーティストらが頻繁に愛用し、1970年代の映画では不良グループの衣装に取り入れられるなど、どうにも武骨な男たちの象徴というイメージが先行する。今季のAURALEEはそんなオンブレチェックを採用した。この上なく梳いた細いウール糸を多色に染め、しっかり打ち込んで織り上げた本作は落ち感とともに独特な光沢を放つ。仕上げの洗い加工がもたらす、体へと馴染む感覚も心地いい。そこに荒々しい印象は微塵も感じさせず、むしろ、大人がニンマリするエレガントさに満ちている。