服には着る人を選ぶものと、着る側に委ねられるものとがある。このボーダーニットは間違いなく後者。ユーザーの要望に幅広く対応してくれる頼もしいアイテムだ。そういったアイテムはえてして無個性になりがちだが、これはそうではないところがポイント。個性を主張しながら、それでいて着る人の技により表情が変わる。そう考えてもらうと、このアイテムの価値がわかっていただけるかもしれない。ベーシックなボーダートップスゆえ、わざわざその着こなしを改めて解説するまでもないから割愛するが、特筆したいのは、軽快な薄手のニットが便利であるというところ。重ね着がしやすいというのはもちろん、初夏に一枚でさらっと着るのにも最適。イタリアンブランドらしい押し出しがありつつ、どこかドメスティックブランドのような抜け感があるから、ベーシックなデザインでもサマになる。このさじ加減は他にはない魅力だ。ワードローブに1枚備えておけば、着こなしの幅と深みが一段と増すはずだ。