伝統的であればなんでも素晴らしいというわけではない。精巧な機械だからこそ実現することができる最良の服だってたくさんあるし、天然素材より化学繊維であることの方がいいことだってもちろんある。それでもやはり、ことフェアアイルニットに関しては伝統的な手法で作られた天然素材のものを選びたい。なにしろフェアアイルニットは、“フェアアイル柄のニット”ではなく“アイル島で作られたシェットランドウールのニット”であることにこそ価値があるのだから。中でもJamieson’s Knitwearは、フェアアイルニットが生み出されるシェットランド諸島の最古のニットファクトリー。一年中冷たい風が吹くシェットランド諸島でこそ育つウールは軽くて暖かくて適度な弾力があるのが特徴。寒い冬を乗り越えるための天然の性能が備わっている。フェアアイルニットの最大の特徴であるこの独特な柄も、伝統的な草木染めによって演出されたものだからこそ優しく品のある仕上がりになるのだと思う。実物を見て手で触れてみれば、“それ風”のものとはまったく違う本物の質感がわかるはずだ。