大人が穿くべきショーツの模範解答

ペルーの歴史。これがまた実に興味深い。15〜16世紀にかけ繁栄したインカ帝国はいい例だ。現在のペルー南部にあるクスコを中心に、最盛期には北は現在のエクアドル、南はチリにまで及ぶ広大な土地を支配。人口は1000万人を超え、今も残る遺跡から確認できる石造建築や土木灌漑などから当時の文明の高さも見てとれる。マチュ・ピチュなどはつとに有名だ。なにより、文字を持たなかった（縄の結び方で情報を伝えあった）点が神秘さをより際立たせている。驚きなのは、今分かっているだけでもそのさらに2000年以上前にも独自の文明を築いた都市国家が存在していたということ。それを示す遺跡でもあるチャビン・デ・ワンタルは、ユネスコの世界文化遺産に登録されている。そして、おそらくそれぐらいの頃から作られてきたのがピマコットンだ。ペルー北部の赤道付近でのみ栽培される希少種で、“世界最高の超長綿”とも称される。その割合は全世界で生産されているコットンのおおよそ２％というのだから、どれほど貴重な存在かは分かってもらえるだろう。機械で刈り入れると不純物が混在してしまうため、すべて手摘みで収穫。気の遠くなるような手仕事を経たピマコットンは、繊維が長く、細く、しなやかで毛羽も少ない。仕上げられた生地はシルクのような佇まいと肌触りで、汗をよく吸い、洗濯後も乾きやすいという利点も備える。〈handvaerk〉のイレギュラーラインである〈handvaerk NAVY〉では、そんな貴重な糸を贅沢に使いヘビーウェイトに仕上げた。ゆえに、たとえカジュアルな印象が強いスウェットショーツだろうとご覧のような美しさで、ちょっとしたロマンも感じられる。大人が穿くショーツとしては、実に申し分ない。