もとはフランスのとある地域のごく一部で日よけや風よけとして使われていたベレー帽。それがこれだけ一般的に広まった要因はやはり軍での採用が大きかったかもしれない。1918年には英軍戦車隊の帽子として採用され、1930年代にはドイツ空軍でも導入された。第二次世界大戦時ともなると、欧米諸国のほとんどで取り入れられていたとか。アメリカ軍にいたっては、色によって部隊をすみ分けしてもいる。ちなみにブラウンは治安部隊、マルーンは空挺部隊、グリーンは特殊部隊といった具合。特殊部隊が、通称“グリーンベレー”と呼ばれていることを知る人も多いはずだ。現在も平時、ないしは公式の場で用いられ、今や100以上の国の軍隊で採用されているとのこと。ただ、もとを辿ればフランス軍で採用された説が有力とされ、山岳歩兵である“シャサールアルピン(アルペン猟兵)”で初めて正式採用されたといわれる。どうやら、安価で大量生産が可能なうえに持ち運びも便利といった利点が大きかったようだが、当時のその空気感を、ぜひともこのアイテムから感じ取ってもらいたい。製作したのは、1840年創業のフランスの老舗。180年以上経った今でも、伝統的な製法にならい同地の職人たちが丹念に製作している。過去の軍への納入実績もあるというから腕前は折り紙付きだ。こちらのモチーフとなっているのは、山岳部隊が実際に使用していたBIGベレー。メリノウールを駆使し一般的なそれの2倍の厚みで作られているため保温性は抜群である。しかも、ライニングには美しいシルクを採用する贅沢さ。外径のボリューム上、被るなら左右どちらかにクタッとおろすのがオススメだ。