懐かしさを感じつつ今っぽく着られるノルディック柄

ノルウェーと聞いて思いつくのは村上春樹の小説か、はたまた『アナと雪の女王』なんて人だっているかもしれない。正式名称はノルウェー王国。デンマークやスウェーデンなどに従属していた歴史を経て1905年に独立。国際連合の設立メンバーで（ちなみに日本が加盟したのは1956年）、NATO原加盟国でもある。国連開発計画による国民の健康と繁栄を示す人間開発指数は世界１位を記録し、経済平和研究所におけるポジティブ平和指数も世界１位（どちらも2020年度調べ）である。フィヨルドやオーロラは感動を提供し、第二の都市であるベルゲン一帯の歴史的建築物はまるでタイムスリップしたかのような感覚に陥らせる。知れば知るほど憧憬の念を抱かずにはいられないが、やはり親近感ともなれば抱きづらいのが本音。ただ、ノルディック柄を目にすれば昔から接点があったことを思い出す。同地に古くから伝わる編み込み柄で、トナカイや雪の結晶などがあしらわれたセーターはつとに有名だ。そして今回、山形県に居を構える日本の老舗ニットメーカー、米富繊維株式会社のファクトリーブランドへ別注した一着にも同柄を落とし込んだ。素材のベースにはリサイクルウールを採用し、柄の部分には種類、色、太さの異なる糸を巧みに織り交ぜたファンシー・ヤーンを用いている。ゆえに、昔馴染みな柄ではあるが、雰囲気はどこかモダン。懐かしみながらも今っぽく着られる。防寒用としても、着こなしのアクセントとしても、実にちょうどいい。