このニットのファーストインプレッションは、やはりそのデザイン性の高さだろう。民族的なデザインはノルウェー・セテスダール地方の伝統的なニットから着想を得たもの。そこにキモノの衿を落とし込むことで、日本的な魅力も備えた、ハイブリッドなカーディガンへとアップデートしている。インパクトの強さからデザイン先行的なアイテムと思われるかもしれないが、さにあらず。本当の魅力は実は使い勝手の良さにあるのだ。冬の必需品であるニットといえば、インナーとして着るかカウチンニットのようにアウターとして着るか、多くはその2種類に分別されるが、これはその中間を突いたデザインであることが特徴。今季らしいゆったりとしたコートのインナーに合わせるのはもちろんのこと、中にジャケットやショートブルゾン、薄手のダウンウエアなどを合わせてアウター感覚で着ることもできる。シーンを限定しないのだ。伝統的な柄はインパクトがありながら安心感もあり、幅広いスタイルにマッチ。フロントは通常2つ付いているフックを1つにし、メンズでも着やすいようすっきりとしたデザインに別注。冬の着こなしはアウターを脱ぐと急に寂しくなったりするが、これを活用すればその心配もない。とても理にかなったデザインなのだ。これ一着あるだけできっと、いつもの冬のワードローブがもっと楽しいものになるはずだ。