アウターに求める価値基準は、ここ数年で大きく変化した。デザイン性が高いだけでは買う理由にならないし、機能が満たされているだけでは洗練性に欠ける。そのどちらも高水準で備えたものこそ、時代が求めるアウターと言えるだろう。マッキントッシュへの別注で完成したこのハーフコートは、まさにその価値基準を満たしたものといえる。
ベースとなったのは、マッキントッシュのアーカイブにある乗馬用のコート。ややゆったりとした作りで、肩は可動域の高いラグランスリーブ。さらに背面の裾は足さばきがいいサイドベンツ仕様。着るものの動きを妨げない作りがいい。チンストラップも装備していて、風の侵入を防ぐことができるのも重要。乗馬時に着ることを想定しているくらいなのだから、どのディテールも確かだ。その上で、素材はイタリアの老舗ファブリックメーカーであるロロピアーナ社のストームシステムを採用。繊細な起毛感のある素材は吸い付くように滑らかで、着用したときのドレープが美しい。見た目のクラス感も十分だ。オン、オフのTPOを限定しないし、着こなしも自由。トレンドに左右されない普遍性と耐久性もある。価値あるアウターとはこのことだ。